オーナーの信念に基づいて時間をかけて妥協のない商品選びをしたフランスやイギリス他アンティーク、ヴィンテージのカップ&ソーサー、ポットなどテーブルウェアや日本の伝統や技術をつめた里帰りオールドノリタケのセット品他ご紹介します。


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オールドノリタケ(Old Noritake)

オールドノリタケの作品の画付技法について

オールドノリタケ 金盛 ターコイズ カップ セット
明治期から第二次世界大戦前までに米国など海外へ輸出されたものをオールドノリタケと言います。

ノリタケの前身森村組の森村市左衛門が日本の雑貨や陶器、美術品などの海外貿易を始めたのち、陶磁器の卸へと方向転換してからは米国で売れる陶磁器を販売するために技術的な困難を乗り越え多くの人々や職人たちとの協力を得て輸出陶磁器が発展させていきました。

当時のオールドノリタケの画付け技術は今ではもう再現できないものもありますが、作品を見ることができます。愛知県名古屋市のノリタケの森にはノリタケミュージアムがあり歴史を振り返りながら美しい作品を楽しむことができます。

これからアンティークやヴィンテージのオールド ノリタケの作品に触れる機会があれば明治期にどのような画付技法が使われていたかを知ることでより作品への造詣を深めることができます。



【画付技法について】

主にあるのは、盛り上げ、金盛、モールド、エッチング(腐らし)、タペストリー(含コラール)、ビーディング、エナメル盛り、転写などとなります。


1.盛り上げ

もともと日本にある技術となり表面を立体的に見せるもので、オールドノリタケにはイッチン盛りが多くあり大変繊細で技術を要し現代では作ることが難しい高度な職人技となります。

※イッチン盛りのイッチンとは装飾を施す際の絵の道具をさします。

オールドノリタケ フクロウ ツボ

2.金盛

ノリタケの作品に輝きを与える金盛には本金(金の含有量が多いもの)を使用します。まず土台となる白色泥漿の盛り上げの下地を作りその上に毛筆などで塗ったあと乾燥させ焼成します。この時の焼成温度は800度。焼成後に金膜が金色の盛り上がった部分と金色を塗ったところにでき、焼成後すぐにメノウ(瑪瑙)の棒もしくはメノウの砂を用い磨くことで光沢を出すことができます。窯の技術が今の時代のようにはなかったためムラなく美しく発色させるために焼成温度の調整には技術が必要であり、コストとの兼ね合いで金の含有量を減らす場合にも剥離がないよう焼成温度には緻密な作業でした。

金盛の技術には手描きと転写があります。

オールドノリタケ ティーポット

3.エッチング

酸腐触もしくはクサラシ(くさらし)という。英語ではacid gold。
「酸により腐食された箇所は艶がなくなるが、金や彩色を施す面とそうでない面との差がくっきりと浮かび上がってくる。」(オールドノリタケの美 井谷善恵著より参照)

オールドノリタケ 花瓶



4.ビーディング

作品の表面全体や一部の箇所にイッチンを使用し細かな粒状の盛り上げを施します。ジュール仕上げとも呼ばれます。ビーディング装飾は輝くような華やかな仕上がりの作品になります。

オールドノリタケ ビーディンブ


5.エナメル(琺瑯)

作品の中には、部分的に不透明なカラフルな色合いの小さな宝石のような装飾があります。それはエナメルといい不透明で、光沢の強いガラス質を用いて仕上げられています。




6.モールド

彫刻のような生地を生地の製作段階で作り焼成し、その上に彩色をしたものとなります。
米国で最高の博物画家ジョン・エイムズ・オーデュポンを参考にした鳥類、哺乳類の迫力ある作品は米国向け製作され素晴らしいものが数多く残っています。


7.タペストリー

生の素地に布を張り表面に布目をつけ焼成後に毛筆で彩色したものとなります。


8.コーラル(珊瑚)

さんごのような仕上がりになることからコーラル(英語でcoaralは珊瑚の意味)と呼ばれる。
七宝焼に似ていてイッチンを用いて土手のような盛り上がりを作ったのちにその内側に色付きの泥漿を施します。それを焼成するとさんごのようなザラツキのある表面が出来上がります。


9.転写

現在流通しているも陶磁器の多くが転写となり、大量に同じ柄を画付けする方法となります。
完成生地、素焼き生地に転写紙という絵柄が印刷されたものを貼り焼成します。

国内に転写技術がない時代は、ドイツ直輸入や貿易会社から購入していていましたが、1926年(大正15年)頃ノリタケがすすめていた転写技術により海外のものに劣らないものができるようになりました。



明治期から作られたオールドノリタケの作品には上記のようにさまざまな画付技法が用いられています。
今では当たり前の画付技術ですが、海外への移動や情報の少ないこの時代の多くの人々の情熱やチャレンジ精神により素晴らしい作品が数多く生まれ今も私たちの目を楽しませてくれています。


※「オールドノリタケの美」井谷善恵著 東洋出版 参照


アンティーク、ヴィンテージのオールドノリタケをセレクトしご紹介しています。
こちらからご覧ください。




ノリタケ コーヒーカップを支えた瀬戸の陶工

寒くなりカフェで温かいコーヒーにホッと癒される季節。

カフェでコーヒーを注文すると当たり前のようにカップ&ソーサーでだされます。

しかし、明治時代にはまだ世界的に陶磁器で有名なノリタケでもコーヒーカップはありませんでした。ただ、創業者の森村市左衛門の情熱に瀬戸のある陶工が熱いチャレンジ精神を持った陶工がこたえ作ることができたのです。


明治時代の日本、まだまだコーヒーを飲む文化、習慣はなくもちろんコーヒーカップも作られていない時代ががありました。良い陶土がとれることで六古窯で知られている瀬戸市でも作る窯元や職人はいませんでした。


西洋でのコーヒーカップはどうだったかと言えば、1750年頃ようやく取っ手付きのコーヒーカップが誕生しましたが、それ以前は小さなスープボウルに熱いコーヒーを淹れ、深めの受け皿に飲む分を移し入れて冷まして飲んでいました。まだ日本が江戸時代の頃です。

なぜ瀬戸の陶工と関係があるのかというとその理由は、オールドノリタケの生みの親でもある森村市左衛門から輸出磁器用(主に米国向け)に「茶碗に取っ手をつけてほしい」と相談があったのです。

ただその当時瀬戸でも作った人はおらず職人たちも見たこともありません。数多くの窯元ができないと断る中、引き受けたのが、川本桝吉でした。

ちなみに現在築140年の旧川本桝吉邸は現在は古民家宿ますきちとして宿泊することができるようになっています。

古民家宿 ますきち


今のように情報も多くない時代、見たこともないコーヒー茶碗づくりに果敢に挑戦しそれを完成させることはどれほど大変だったことでしょう。


「茶碗に取っ手をつける」と言葉では簡単で今なら当たり前なのかもしれませんが、取っ手を付けることで焼成時にゆがみが生じ製作は困難だったようです。


しかし、明治時代、国家のために輸出磁器を作るという森村市左衛門の情熱と新しいことにチャレンジする心意気のある瀬戸の陶工と職人たちにより現在のコーヒーカップが誕生したことに日本の職人気質を垣間見ることが出来ます。


ふだん何気なく使っているコーヒーカップに地元瀬戸市とそんな関わりがあったとは今まで全く知らず、これからの寒い季節にコーヒーを飲むたび思い出しながら美味しくいただけそうです。



オールドノリタケ カップ ソーサー

オールドノリタケ朱赤のデミタスカップコーヒー


このほかオールドノリタケの作品はこちらからご覧いただけます。

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間違いやすいオールドノリタケの偽物の刻印


オールドノリタケには製作年代によって作品の裏に異なる刻印(バックマーク)がついており
作られた年代は、そのマーク(約100種類以上)を見て知ることができます。

ただ残念ながら、オールドノリタケの刻印に非常によく似た間違いやすいマークがつけられた「偽物」も数多くあります。それらはよく真似て作られた作品もありますので、その判別は難しいものもあるため作品の裏についた刻印を調べ確認することをおすすめします。


以下は、よく見かけるオールドノリタケの偽物の刻印となります。
もしお手元に作品があり気になる方は以下をご覧いただきご参考ください。


明治24年(1891年)アメリカ輸出向け
通称メープルリーフ印

正しい刻印
オールドノリタケ フクロウ ツボ


偽物の刻印は以下となります。
正しい刻印と比べメープルリーフが大きくなっていたり、もともとメープルリーフの形が異なっている、書体が違うなど比較的見分けやすい。

偽物1.
オールドノリタケ 刻印 偽物
偽物2
オールドノリタケ 刻印 偽物
偽物3.
偽物4.
 オールドノリタケ 刻印 偽物
明治43-44年(1910-1911年)アメリカ輸出向け
通称M-Nippon印
森村家の家紋の下り藤を逆にした上り藤となっており、中央には頭文字Mが入る。

正しい刻印
以下は偽物の刻印。
藤の上下の向きがちがっており中央のアルファベット文字が異なるなど明らかに違いがわかるタイプ。

偽物1.

オールドノリタケ 刻印 偽物

偽物2.

以上はよくみかける偽物の刻印の一部となります。


まとめ

今回の刻印の真偽を見分けるポイントは以下のとおりです。

1.モチーフの大きさ
2.デザイン相違
3.文字や書体の相違
4.小さな点の有無など

上記の場合ですとメープルリーフの大きさや書体の違い、アルファベットや文字色の違い、一見して見落してしまいそうな小さな点の有無などわずかなデザインの違いなどがあることが見てとれます。


普段の生活でノリタケのアンティークやヴィンテージの作品を数多く見る機会がない方がほとんどかと思います。見分ける際には美術本や資料などから実物の作品と比較して確認されることをおすすめします。

実物の作品を数多くみる機会が増えてきますと作品の外観からわかる場合もあります。それは、偽物は手描きの絵柄や金の装飾が雑であったり、細部まで丁寧に描かれていない、金彩の塗り方、ペイントなど本物とはどことなく違和感を感じます。そして外観から感じる違和感は裏の刻印をみることで明らかに偽物であると見分けることができるようになります。

偽物の刻印がついた作品が今も海外で数多く残っていることから、当時のオールドノリタケの作品がいかに欧米で人気が高かったかがよくわかりますね!



オールドノリタケの作品や刻印一覧については様々な美術本でも掲載されていますが、愛知県名古屋市 ノリタケの森にあるクラフトセンター3、4階「ノリタケミュージアム」ではその両方をご覧いただけます。


当ショップではセレクトしたオールドノリタケのアンティーク、ヴィンテージの作品をご紹介しています。よろしければこちらからご覧くださいませ。
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読み物 「オールドノリタケについて」もご覧ください。
oldnoritake_history_musium


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オールドノリタケとは


ノリタケの歴史に輝くオールドノリタケ

世界的に陶器のブランドで有名なノリタケ。
今年2024年創立120周年を迎えます。

現在のノリタケ株式会社(以下ノリタケ)、ノリタケの名前の由来は地名の愛知県名古屋市の則武(のりたけ)からくるものです。

明治治37年(1904年)に輸出用にディナーウェア(洋食器)を国内製造することを決めノリタケの前身となる日本陶器合名会社を創立しました。
10年後の大正3年(1914年)にようやく長年の努力の結果として日本で初めてのディナーセットを完成することになります。オールドノリタケの作品は、そこへ至るまでの長い歴史の中で誕生し現存する当時の作品からは貴重な職人技を見ることができます。



ノリタケ
ノリタケの森にて撮影 



ノリタケの陶磁器の歴史は、明治9(1876)年、東京銀座に森村市左衛門が「森村組」を創業したことにさかのぼります。海外貿易を通してアメリカをはじめ、英国などへ高品質の陶磁器を国内で輸出用に生産し海外で高い評価を得てきました。


海外貿易をはじめるにあたり森村市左衛門とある人物の出会いがありました。
幕末のころ、日本の金が海外に大量に流出することに不安や危機感を覚えた市左衛門は、知人から紹介された福沢諭吉の言葉が動機となり海外貿易への道が開きました。

その言葉とは、「流出した金を取り戻すためには海外貿易以外に方法はない」というものでした。


ノリタケ モリムラ
ノリタケの森ミュージアムにて撮影


森村市左衛門は、ニューヨークに弟の森村豊(とよ)を送り、のちの「モリムラブラザーズ」を立ち上げます。当時まだ東洋人に対して厳しい時代であり生活環境も苦しい中、少しずつ商売を伸ばしていきました。当初は日本からの骨董品、陶器のほかうちわ、ちょうちんなどの雑貨品を販売しました。


中でも陶磁器の売れ行きが良いことから日本から陶器を作り販売するようになります。好評だったのは陶器の花瓶、壺、皿など装飾品で、それらは生地を瀬戸などで作らせ国内から集結した技術の高い職人たちにより画付けされました。

日本の伝統的な美的センス、時代の少し先を見据えながら西洋の感性、デザイン性を取り入れつつ高い技術力を合わせながら盛り上げ、金盛り、エッチング、エナメル、ビーディング、ラスター彩、モールド、タピストリー、ウェッジウッド風など多数の作品を海外へ輸出し多くの人々を魅了してきました。

その中で大切に保管されてきたものが現存し今では再現できない技術、多くの時間や手間をかけた素晴らしい陶磁器製品を見ることができます。それらの作品はディナーウェアとは別にファンシーウェアとよばれていました。

モリムラ・ブラザーズは、1941年に閉鎖される間までアメリカでの販売拠点となり陶磁器生産においてとても重要な仕事を担っていました。閉鎖に至る理由には、1939年、第二次世界大戦の勃発などが影響しました。



オールドノリタケの価値
オールドノリタケの作品は、ハンドペイント、豪華な金彩、品質の高さ、デザイン性の高さから100年以上たつアンティークの作品として世界中の骨董収集家からその価値を認められています。
また、手描きの作品にアーティスト(絵付師)のサインが入っているものは特に貴重な品として扱われています。
中には状態の良いものもありますが、やはり100年以上たっていることからよほど保管状態の良いものでない限りアンティーク特有の経年のスレ(摩耗)、はがれ、ニュウ、欠け、ヒビなどがあるものが少なくありません。
持ち手(ハンドル)の摩耗など。しかしながら高品質であることに対する価値はかわりません。



オールドノリタケの刻印について
バックスタンプ(刻印)にNoritakeの商標がつくようになったのは明治41年1908年)ごろから。
それまでの製品の刻印には国内7か所の森村組の専属画付(えつけ)工場の窯元名が付され、日本陶器が明治37年(1904年)に創立されるまでの間はメープルリーフ(森村組使用)のバックスタンプが使われています。
しかし専属でない画付工場も複数あり刻印のないものもあるため、森村組が輸出したものかどうかはデザインの原画となる画帖や技法、製品の完成度などから照合することで確認する場合もあります。



まとめ
森村組と日本陶器(現・株式会社ノリタケカンパニーリミテド)が、明治中期から第二次世界大戦期にかけて製造し販売した陶磁器を「オールドノリタケ」と呼びます。
当時の欧米の顧客や時代、文化のニーズの情報を陶磁器に取り入れ、新しいデザインを生み出し消費者に受け入れられていきました。そしてアメリカの収集家たちによってアンティーク価値が見いだされる1970年代になると、これらの陶磁器は「オールドノリタケ」と呼ばれるようになりました。

オールドノリタケの作品は、繊細で美しく人のあたたかみが感じられ広く愛されていることで知られています。
様々な熟練職人による技法が使われ日本の伝統をベースに西洋の文化や技術と融合させて新しい魅力を生み出し世界中で高い評価を受けています。


オールドノリタケの作品をご覧になりたい方はこちらからどうぞ。
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